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リクルートの新卒1年目がKPIについて考えた話

こんにちは、「ポンパレモール」のUXディレクターをしている松田です。
今回は、「リクルートの新卒1年目がKPIについて考えた話」のタイトルのもと、僭越ながら私の経験とそこから学んだ話についてシェアさせて頂ければと思います。

このnoteで述べること

・KPIとはそもそもなんなのか
・なぜKPIが必要なのか
・良いKPIとは
・KPIの設定に際して重要なこと

ポンパレモールとは

まず、前置きとして、私が担当していたプロダクトやロールについて話していきます。
ポンパレモールとは、Ponta経済圏に属する、モール型のECサイトになります。

※ モール型とは
専門分野やプロダクトに特化したブティック型のECサイトとは違って、様々な店舗(クライアント)が集まってあらゆる商材が取り扱われているECサイトになります。日本ではAmazon、楽天市場が主要なプレイヤーとなっております。


ポンパレモールの特徴は、会員数6000万人を抱えるPonta経済圏に属しており、Pontaポイントユーザーがポイントの消費や蓄積が行えるというところにあります。社としても、ポイント経済圏の出口としての重要な役割を担っております。


私のポンパレモールでの役割

2020年3月に大学院を卒業し、同年4月に新卒1年目としてリクルートに入社しました。
3カ月の研修後、7月にポンパレモールにUXディレクターとして配属になり、広告機能の推進に携わるようになりました。
広告機能とはというところですが、主にAmazonではSponsored Productsとして認知されているものと類似の機能です。
カスタマーの検索に連動して、店舗が入札した商品が検索結果上位に配置された広告枠に表示されるといったものになります。
検索結果画面上位に表示されるというバリューと引き換えに、カスタマーが入札された広告枠をクリックした際に発生する広告費をポンパレモールが頂戴するビジネスモデルです。
こちら2020年2月にリリースされたばかりの機能で、立ち上げ期を経て、「ある程度データが溜まってきたところで実際にどのように売上をグロースさせていこうか」というフェーズにありました。
私もその過程でグロースの一手となる案件にアサインされました。


KPIの失敗

その案件ですが、店舗に対して広告商品の利用ハードルを下げるべくキャンペーンを行い、店舗あたりの入札される商品数と(新規)店舗数の拡大を図ろうといったものでした。
どのようなキャンペーンを張ったら店舗は動くのか、目標とする売上アドオン(KGI)に対してアドオンしないといけない入札商品数(KPI)はいくらになるのか、などなど、様々な論点をチームメンバーと協議しつつ、キャンペーンの設計と実施までを行いました。
1カ月のキャンペーン期間を経て、結果としてKPIとしておいていた入札商品数をオーバーライドすることができ、新卒1年目としては満足のいく結果だと、バンザイをしていたのを覚えています。
しかし、バンザイしていたにも関わらずここに失敗があったわけです。
KPI(入札商品数)をハイ達成したものの、KGIである売上のアドオンが大きく達成できていませんでした。
結果からお伝えしておくと、考慮すべきKPIが入札商品数以外にも多分にあったということがことの顛末なのですが、当時は頭がピヨピヨ状態になったという苦い体験でした。


失敗からの決意

なぜ失敗したのかとぼやっと考えていると、そもそも今回のオーダーってどうだったのかなと考えるようになりました。

オーダー:入札商品数(KPI)のアドオンにより売上(KGI)の達成を目指す

最初は、「入札商品数って大事にされてるんだな」程度にしか思ってなかった私ですが(内部の人の方が圧倒的にプロダクト理解が進んでいるから特に最初から意見することはないという消極的な判断のもと)、「一体全体入札商品数って戦略上どれくらいの優先度でパフォームすると考えているのか」という点に疑問を持ちました。
蓋を開けてみると、リリースしたばかりである程度探索的にやっていたという部分もあり、仮説上でも細やかなKPIの分解がされていないという背景がありました。
そこで私は一旦ゼロベースで「KPI設定とはなんぞや」という部分に立ち返って、当時の失敗の理由を探すことに決めました。


KPIドリブンを考える

本章では、なぜKPIを用いた分析がそもそも必要なのかと立ち返って考えた時の経験を書きます。

●KPIとは何なのか
KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」という意味になります。KPIとは目標を達成する上で、その達成度合いを計測・監視するための定量的な指標のこと。
ものすごく身近な例でもって説明すると、「筋肉を大きくする」というゴールを設定した際に、「摂取タンパク質の量」や「トレーニング負荷」など目標達成に寄与する要素群が当てはまります。

●なぜKPIが必要なのか
Wikipediaの超絶意訳ですが、なんらかの目標達成の際にKPIは以下のような文脈で必要とされているようです。

「成功」には頻出パターンが2種類ある
①様々な「達成」の組み合わせによって成し遂げられる。
②段階的な「達成」のプロセスによって成し遂げられる。
いずれのパターンでも、成功を収めるためには、そこに到達するまでの要素が存在するはずである。
また、意思決定者が様々な成功のための選択肢を考えるとき、今後の行動の結果を見通すために現状を正しく分析する必要がある。
分析が不完全性や情報の不備のもとで行われると、その見通しは信用できるものにはならず、結果的には想定しない結果を生んでしまう可能性がある。
故に、「成功」への道筋に存在するはずであるそれぞれの「達成」を適切な単位、PI(KPI)の利用はそのような誤りやリスクの低減において重要である。

私なりに要約すると、「成功」というのはもっと小さい要素の達成の集まり(組み合わせだったり、順列だったり)からなるもので、その要素の把握って大切なんだよと言っているはずです!
また、なんらかの成功のためにはKPIを意識した分析は有効とのことですが、ただ単に正しさとしての価値だけではなく、合意形成やモチベーション形成などの面において、組織の中でよりパフォームしてくれる代物だと私は思っています。


●良いKPI分析とは
KPIに求められる重要なことはなんでしょうか。よくフレームワークとして「SMART基準」というものが参考にされています。

・Specific 具体的な改善項目であること
・Measurable 進捗測定について、定量化可能か、最低限でも目安が見えること
・Assignable 誰が実施するか定義可能であること
・Realistic 利用可能な資源の範囲で結果を達成することが可能なこと
・Time-related いつまでに結果を達成するかが定義可能であること
wikipediaより引用)

この辺りの基準が満たされる要素が良いKPIとして古くから設定されているようです。
また、これらに追加してImpact(成功に対しての寄与度が高いか)もKPI設定に対して重要であると考えています。
KPI特定の際には以上のような基準を持つことは大切ですが、同時に選択肢をキッチリ揃えることも大切です。
先の例でいくと「摂取タンパク質の量」、「トレーニング負荷」などの分解の択を適切に揃えることです。
その分解の仕方、揃え方で私が重要だと思っているのは以下2点です。

・MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhausive) であること
・意味のある分解であること

MECEに関してはよく耳にする言葉ですし「モレなくダブりなく」という説明で過不足ないと思いますが、より難しいかつ後々重要になるのが後者だと考えています。
「ある商品の売上をてこ入れしたい」という課題のもとでは、「個数×単価」、「市場×シェア」、「ユーザー数×ユーザーあたりの売上」、「首都圏売上+関西売上+他地域売上」のどれもがMECEの切り分けになります(安宅和人氏の名著、「イシューからはじめよ」がうまく説明しているのでその例をお借りしています)。
MECEにだけこだわるのは危険で、それぞれの切り口で検討を進めても同じ結論になることはありません。
検討に際して、上に示したような基準が見通せるような単位まで様々な切り口を考えたり組み合わせたりすることが大切です。


KPIドリブンになるまで

先の内容のようなことを踏まえて、実際に当時の検討をアップデートしていきました。

●ツリーができるまで
まずKPIになる要素を洗い出してツリーを作りにいったところです。
MECEに分解するということはもちろん、先述の「意味のある分解であること」という面に着目し、分けなければいけない切り口ってこれもこれもあるよねというより詳細な分解を意識しました。
私がアサインされる前の初期段階では図1のような関係まで簡単に整理されており、広告表示回数の補完のために入札商品数がおそらくの子要素として大きく追い求められていたという状況でした。

図1


図1. 初期ツリー

これを末端の「広告表示回数」から一発でかなり粒度の小さい要素である「入札商品数」まで落としているのが非常に問題で、その前段階で着目すべき要素が多々あるというのが見立てでした。
そこで図2.に示したような要領で、新しい切り口でもって、ツリーをより詳細に詰めるという作業を行いました。
これは新任者ということがかなり強いアドバンテージとして働いたと考えていて、あくまでゼロベースで構築できたというのがポイントです。
一方で詳しい人の知見ももちろん必要で、ツリーがより詳細に完成していく過程で内部の詳しい人材にとことん壁打ちして同意を取るという作業ができたというのがもう一つよい点でした。
こちらも、”何もワカンナイ新人”という立場をうまく利用できたと考えています(逆に年次が進んだ場合にどう効率的にディスカッションの場を設けるかということが課題です)。
今思い直すと、あくまで個人ワークというか、自由研究で閉じた内容にならなくてよかったです。
分解の精度という点においても、後々合意の取りやすさという点においてもです。

図2

図2. 詳細要素への分解

かつ、途中でかなり意識したことがありました。それは、同じ要素が複数件乱立するケースが発生した場合に(図3参照)、それらをハイライトしたことです。
のちにImpact軸で各要素を評価することになるのですが、その際に着目した要素のImpactが、極端な話倍々になってくることを予見しておくことが重要だということです。
そういう意味では、他の枝にすでに存在している要素が、分解を検討している要素に対して影響しているのかどうかを常に意識することができました。
その意識が後々、俯瞰してみた時の要素同士の優先順位だての際にうまく働いたと考えています。
ツリー内の要素の重複は、要素の粒度を細かくする過程で稀に見られる事象です。

図3

図3. 同一要素の取り扱いについて

●要素間の優先順位ができるまで
詳細な分解が完成した後は各要素の優先度を探っていくのですが、基本的にはImpact × Feasibilityの2軸を意識しました(FeasibilityにSMARTのARTが内包されるイメージ)。
しかしながら、比較段階でImpactの算出が可能(Measurable)かどうか、また、算出する必要があるのかの問題がありました。
内部のログや蓄積データのみで算出可能な部分もありつつ、今まで検討もしたこともなければImpact評価が可能ではない要素が多々あったということを覚えています。
一見圧倒的にインパクトを生まないだろう、切っていい要素だろうという部分もあります。
これに関しては検証コストをかけすぎても勿体ないので切ればいいのですが、一方でつぶさに新しい検証メソッドを敷いてみないと重要な項目かどうか判断がつかない部分がありました。
一番分かりやすい例でいくと、「クライアント数」という要素がありました。
かなりグローバルな要素だと思います。
今回の場合は、「この広告商品に賛同してくれるクライアントってそもそもポテンシャル的にどれぐらいいるの?」というところに答えが出せていない状況でした。
もしそのポテンシャルと現状のボリュームに大きく乖離があれば、「もっとコミュニケーションを強化したら取れるでしょ!」といった感じでとても良いKPIになります。
しかしながら、前述の通りこちらを検証するリソースが足りていないという課題がありました。
そこを補填してしっかり埋めにいったのも私の重要な起案の一つです。
最終的には、検証不能だった部分について、クライアントヒアリングという新しい機能の発足を経て検証可能になっただけではなく、これからの施策のフィードバックという点でもクライアントとの距離が非常に近くなったことが、振り返っても非常に良い部分だったと感じています。
以上の新しい機能(部署)でもって、それまで検証のメインの手段を担っていたデータ分析と合わせて、すべてのImpactがノックアウトファクターにならない要素がすべて算出可能となりました。
ここまででようやくImpactが評価可能となりました。
あとはもう一つの軸であるFeasibility、どれだけ解決できそうなのかを話し合って、合わせてKPIの設定を行いました。
以上がKPIを設定した流れになります。


KPI設定後の取り組み

追いかけるべきものが決まったあとは、それをどう追っていくのかにシフトしました。
実際の施策の方向性、スケジュールの策定でもって戦略とし、決裁をとりました。
今は実際の施策のPDCAを回しています。


おわりに

KPIは大事だと一口に言っても、

・択となる要素の洗い出し(分解)
・選択のための基準の採択
・基準の穴埋め
・実際の比較


などなど、やらないといけないことは非常に多いです。
しかしながら、KPI設定は企業の利益追及のために、企業が組織であるために必要不可欠なものだと私は考えております。
このようなプロダクトの行く末を決めかねないプロセスを新卒1年目ながら経験できたことは刺激的かつ私の成長に大きく寄与するものだったと思います。
最後になりましたが、この体験を記したこの記事が、新卒や第二新卒、中途採用での弊社入社を検討されている皆さまのモチベーション形成の一助になれれば幸いです。

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ありがとうございます!